この恐ろしげな怪物は!?

月夜にとどろく、獣の咆哮(ほうこう)。この怪物は「牛鬼(うしおに・ぎゅうき・ごき)」。主に関西から九州にかけて知られている怪物です。特に四国には牛鬼の伝説がたくさん残っているんですよ。身体は剛毛に覆われ、頭には二本の角、口には鋭い牙、そしてムササビのような翼をもつ異形の姿。凶暴な性質で夜になると山から人里に下りてきて、人間や家畜を襲っていたと言います。
駐車場の片隅のブロンズ像

ここは香川県高松市の「根香寺(ねごろじ)」。四国霊場88ヶ所の第82番札所です。白装束のお遍路さんで賑わう有名なお寺ですが、駐車場の片隅にとっても奇妙な像があるんです。全体がブロンズの緑色で、あたりの木々に溶け込んでしまっているためか、観光客もお遍路さんもみなさん素通りして本堂の方に向かってしまいます。でもこれを見逃すのはもったいない。
フォトショップで牛鬼を再現

根香寺は妖怪・牛鬼にゆかりのあるお寺なんです。ぎょろりと目をむいて今にも襲いかかろうとする牛鬼のブロンズ像。でもまん丸に見開いた目がユーモラスで憎めない表情をしていますよね。冒頭の写真は、この可愛い銅像の写真を元に私がフォトショップで着色&合成したものです。人間や家畜を襲う、恐ろしい牛鬼が再現できたでしょうか。
牛鬼伝説とは

時は400年前の天正年間。この辺りに牛鬼と呼ばれる妖怪が村を荒らしていました。困った村人は弓の名手として名高い、山田蔵人高清に牛鬼退治を頼みます。高清は毎日山中を探し回りましたが、なかなか牛鬼が見つかりません。そこで牛鬼退治を祈願して根香寺の本尊に祈りました。
牛鬼の角と掛け軸が今も残る

するととうとう21日目の満願の日に目を光らせた牛鬼を見つけることができました。飛びかかってくる牛鬼に高清は矢を放ちます。3つめの矢が牛鬼の口中に刺さり、牛鬼は悲鳴を上げて逃げました。高清が血の跡をたどっていくと、定が渕というところで牛鬼が死んでいました。そのとき高清が切り取ったという牛鬼の角と、その姿を描いた掛け軸が根香寺に今でも残っています。
西日本各地の牛鬼伝説

高知の牛鬼も牛や村人を喰い殺すどう猛な妖怪。和歌山の牛鬼は影をなめて人を食べたり(ど、どうやって!?)、出会っただけで人を病気にします。山陰地方の牛鬼は濡女や磯女とタッグを組んで海中から現れ、人間を餌食に。愛媛の宇和島にも牛鬼の伝承があり、07月には牛鬼の山車が町中を練り歩く「牛鬼祭り」なんてお祭りもあるんですよ。いろんな姿形をしている牛鬼ですが、根香寺の牛鬼は翼が生えているのが特徴的です。
霊気漂う静かなお寺

さて、根香寺そのものも見てみましょう。山の中にあるお寺なのでとにかく階段が多いです。山岳仏教系のお寺に行く時には歩きやすい靴でどうぞ。歩きで88ヶ所まわっているお遍路さんは大変そう。ベンチでぐったりなっている方もいらっしゃいました。でも山深いお寺だけあってとても静かで辺りは霊気が漂っているようでした。
樹齢1600年の白猴欅(はっこうけやき)

境内で目を惹くのは「白猴欅(はっこうけやき)」と呼ばれる巨木。樹齢は約1600年。樹幹の周囲は約7m。智証大師が開基した時、この木の下に白い猿が現れて創建を助けたことから名付けられました。一時は、香川県天然記念物に指定されていたそうですが、枯れてしまったため平成3年に根を切り、屋根をつけて保存されています。
33年に1度しか見られない秘仏

そしてなんと言っても国指定重要文化財になっているご本尊の「木造千手観音立像」。桜材の一木造りで高さ163センチ。藤原時代初期に作られたものです。ただし秘仏なので御開帳(一般公開)は33年に一度。前回が平成15年(2003)なので、次回は平成48年(2036)です。ぐはー、27年後か……。そのころ四国八十八ヶ所巡りやろっかな。
牛鬼の角と掛け軸は一般公開されていない

牛鬼は、今では魔除けの御利益があると言われています。しかし根香寺の牛鬼の角と掛け軸は一般公開はされていません。たいへん残念ですが、掛け軸の絵を見事に再現した牛鬼像を見たり、牛鬼の姿が印刷された手ぬぐいを購入することはできますのでぜひお立ち寄りを。角と掛け軸はネット上の根香寺公式サイトで見ることができますよ。【麻理】
「妖怪・怪異」の珍スポットレポート
【根香寺】
根香寺
住所 :香川県高松市中山町1506
最寄り駅:高松駅→車30分
電話:087-881-3329
休業日:無休
時間:07:00〜17:00
拝観料:境内自由
関連URL:根香寺
2009年07月25日



















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